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パラオ在住者、元在住者、パラオ関係のお仕事の人、パラオを愛する人々によるパラ×パラオリジナルコラム

忍!サザンマリンダイバーズでガイドしてます、白石です。

ガイド始めてそろそろ2年が経とうとしてますけど、下が入ってけぇへんさかい、未だに下っ端ですわ。頭使わんと日々走り回ってまっさかい、体だけはムキムキでっせ。あとヌンチャク振るのが上手いさかい、パラオ人からは『Bruce Lee』いうて呼ばれてますわ。

今回、『ボルネオハゼ』というマングローブ域に生息する珍しいハゼの写真撮影に成功しました。マングローブ域は泥々で透明度も悪く写真撮影は困難を極めるのですが、逆にまだまだ未開拓なエリアですので、新種を見つける可能性なども十分に含んだ魅力的なエリアでもあります。

そんなマングローブの中に一人タンクを背負って入り、泥どろになりながら身を潜め、『ボルネオハゼ』と闘った男の記録をここに書き綴りたいと思います。

しかし『パラオ×パラオ』やのに、「ボルネオて...。」みたいな。まぁその辺の野暮ったさに、俺と言う人間性を感じて頂けたらと思いますわ。どうぞ一つ宜しくお願い致します。押忍!

この魚、日本にいる時から『日本のハゼ』(平凡社から出てる図鑑)では見たことがあったのですが、『サツキハゼ属』の中でも色が多く、飛び抜けて綺麗です。『サツキハゼ属』のハゼは繊細なイメージがあるのですが、そのイメージをぶち壊す華やかさが、このハゼにはあるのです。にもかかわらず生息場所はマングローブの泥ドロ域というギャップ。しかも名前は『ボルネオハゼ』。

海外に出たことのなかった俺の心を鷲づかみにするだけの材料は、既に十分に備わってますわ。付け加えると、この図鑑のボルネオハゼ、妥協のない仕事をすることで有名な矢野さんが撮った写真にも関わらず、ごっつ画像が荒いんです。この辺からもマングローブ域の透明度の悪さ、写真を撮る際の困難さを窺い知ることが出来ます。その分「ええ写真撮ったろ!」思て、ごっつ燃えたりもするんですけど。

パラオに来て、初めは「マングローブ潜ればすぐに会えるやろう。」って軽ぅ考えてたんですけど、なかなか会えません。マングローブ潜るたびに中層を探すんですけど、他のサツキハゼには出会ってもこいつには全然出会えません。「おれへんもんやねぇ〜?」思てたら、意外な形で最近やっと出会えたんですわ。

写真撮ってたのに恥ずかしい話し、すぐに『ボルネオハゼ』って気付かへんかったんです。撮った写真はヒレ閉じてましたさかい、矢野さんのヒレ全開のと比べても全然違うハゼと勘違いしてて、「なんちゅうサツキハゼやろうなぁ〜?」思て暫く放置してたんですわ。暫くしてうちの治郎さんに「このサツキハゼなにもんですかねぇ?」って尋ねると、「おっボルネオじゃん!」やて...。

頭真っ白になりましたわ。場所は言われへんけど、うちのボートオペレーター(アレンさん)の家の前ですわ。って言うてるやんいう話しや。衝撃でしたわ、ほんま。

「えぇ〜〜〜〜!これ、ボルネオぉ〜!?でも、アレンさんち前やで!?確かにマングローブに囲まれてるけど。でも、えぇ〜〜〜!家の前て...えぇ〜〜〜!!!」ほとんどパニックでしたわ。それからアレンさんち通いが始まったんですわ。

こいつの写真を狙うなら、出来るだけ透明度の良い上げ潮のときです。満月とか新月の潮の大きい時期やったら、よりベターです。あと気ぃ付けなアカンのはワニの存在です。パラオにはクロコダイルが居てまっさかい、マングローブ選び誤ったら『死亡遊戯』必至でっせ。

マングローブに頭突っ込んで、いざ写真撮影開始です。自分は常に『矢野越え』(※1)目指してシャッター切ってまっさかい、出来るだけ綺麗な雄のヒレ全開を狙いますわ。ところがこの『サツキハゼ属』ちゅうのは、普段はホンマにヒレ開きません。さっきも言いましたけど、ヒレ開かへんかったらこんなもんただの『チリメンジャコ』ですわ。

マングローブに頭突っ込んでひたすら待ちます。はたから見たら『流れてきたドザエモンが引っかかってる。』みたいですわ。巻き上げた泥がゆ〜くり沈殿してくると、普段あまり見る機会のない魚が現れて気ぃ取られたりします。「おっフタスジノボリハゼやんけ。」「おっヒトミハゼやんけ。」って油断してたら、「ぱっ!」とヒレ開きよるんですわ。「あぁ〜っ!」思たら、もう後の祭りですわ。あざ笑うかのように、一瞬ですわ一瞬。 a moment ですわ。ホンマ憎たらしいやっちゃで。

気合い入れ直して再びマングローブに頭突っ込みます。気ぃ付いたら2時間ぐらい経過してます。集中してるから時間経つのん早い早い。じぃ〜〜〜っと観察してると、だんだんとヒレ開く瞬間が見えてきます。それが雄への威嚇であったり、雌への求愛であったりする訳ですけど、要は違う個体にちょっかい出す時がポイントですわ。つまり狙った個体が違う個体に必要以上に接近した時、または近づいて来られた時がチャンスです。ホンマ一瞬だけですけど、腹ビレを「タカタカタカ!」と振ると同時に第一背ビレも「バッサー!」開きよるんですわ。

ファインダー越しにじ〜っと待ってて「タカタカタカ!」なったら、「今やぁ〜〜〜!!!」てな具合ですわ。テンション上がりまくりやで。マングローブに頭突っ込んで「エロいなぁ〜!うわぁ〜!エロいなぁっ!」言いながらシャッター切りまくりですわ。変態やでホンマ。親見たら泣くでいう話しや。何とか撮れた時は Dr. レオンちゃうけど「時空を捉えました...コンプリート...。」言うてましたわ。

まぁ見たって下さい。この尻ビレと尾ビレに入る、緑とピンクの怪しい色合い。あと第1、第2背ビレに入る、赤いスポット。ごっつ雅らかですわ。これぞ俺が捜し求めてた『ボルネオハゼ』ですわ。(「こんなもん探してたん?」って言わんといて...。傷付くから言わんといて...。)

しかしこの写真、上半身白飛びしてますし塵はいっぱい写り込んでますし、まだあきませんわ。残念やけど、まだ『矢野越え』には至ってませんわ。こんなこと言うてたら終わりないんやろうけど、まだ暫く泥の中に頭突っ込む日々が続きそうです。簡単に満足させてくれへん辺り、ほんま楽しいですわ。

冒頭でも述べましたけど、マングローブ域はまだまだ未開拓なエリアですので、ごっつ面白いですわ。潜るたびにけったいな魚見てますし、簡単には掘りつくせない奥の深さがあります。俺にはまだ『ハゴロモハゼ』の発見ちゅう目標も残ってますし、ごっつロマン溢れ倒してるで。しかしクリアブルーの爽やかさは、いっこもあらへんけど!

※1『矢野越え』:『日本のハゼ(平凡社)』の矢野さんの撮った写真より、よりヒレの開いたより綺麗な色の写真を撮ること。



伊井淳教

白石 拓巳君(しらいし たくみ)
パラオ人に本当の名前覚えられてへんけど、「ブルース・リー」言うたら「あぁ、あいつか」ってなるぐらい、『ブルース・リー』で通ってます。ウェットスーツも死亡遊戯仕様ですわ。最近は暇になったら泥地ばっかり潜ってまっさかい、『燃えよドラゴン』ちゅうよりは『萌えよ泥ゴン』ちゅう感じですわ。押忍! サザンマリンダイバーズ勤務。




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