Google WWW を検索 palauxpalau.com を検索
パラオ在住者、元在住者、パラオ関係のお仕事の人、パラオを愛する人々によるパラ×パラオリジナルコラム

んにちは皆さん、読んでいただいてありがとうございます。パラオと云えばロックアイランドとダイビングですよね、私も大好きです。でも今回はパラオの森のお話。パラオで一番大きな島のバベルダオブ島はこの数年で道路が整備され開発も進んでいますが、まだ原野や森がいっぱいで、小さな集落が点在しています。私の楽しみはそんな地方へ行き森に入ることです。

私と森との関わりは通称ハッシュランと呼ばれるゲームによるものです。ハッシュランはリボン等のマークで設定されたコースを参加者がマークを辿りながら場所を知らされていないゴールを目指すゲームで、グアムやバリなど多くの土地で開催されているそうです。パラオでは主に地方の旧道や原野、森の中を走るコースが設定されます。

南洋の島国パラオの森は「ジャングル」ですが、山側には殆ど危険な動物が居ません。小型のトカゲや蛇は見掛けますが、猛獣や毒を持ったものは居ません。猪や大型トカゲが居るらしいのですがまだ私は遭っていません。でも蚊や蜂は普通に居ますし、ポイゾン・ツリーと呼ばれるウルシのように樹液に触れると被れる木や、鋭い棘のある植物がありますので油断は出来ません。

魅力の一つは森を駆けていると童心に戻ることです。森の中は起伏に富んでいて丘、小さな尾根や沢、川、湿地が多くあります。森は雑木林の趣ですが、大きなガジュマルや板根を持ったサキシマスオウノキも見掛けます。大小の風倒木があり、大木が朽ち掛け苔生していることも。そんな森を駆けるには、上り下りでは木を手掛かり足掛かりにして進み、風倒木を乗り越え、くぐり、小川を渡る橋代わりとします。沢登りでは2mほどの小さな滝の岩肌を登ることも、段々畑の様なパラオの史跡「ケズ」では急坂をお尻で滑り降ります。バランスを取るため少し身を低くして木々の間をスキーのスラロームの様に森を駆け、胸まで水に浸かり川を渡る、気分はもう丸腰の「ランボー」です。

日常のことは頭から消え、四肢の筋肉に心地良い疲労感を感じつつ(実は相当苦しい)、目を凝らしてマークを探しながら森を感じて駆ける、私には最高の時間です。湿地は少々やっかいで右足が沈まぬうちに左足をそしてまた右足を進めます、これって何だか忍者修行? 時には泥にはまって靴を取られ「あっ」でも勢いは止まらない「あ〜あ〜」靴の脱げた足は泥の中へ、回れ右をして靴を取り泥だらけの足で靴を履く「とほ〜っ」、でも皆ワーワーキャーキャーいって子供の泥遊びよろしく楽しんでいます。

もう一つの魅力は私を鍛え励ましてくれる森です。ハッシュランのコース作りでは、森に入る前に地図や衛星写真で地形とスタート・ゴール予定地の位置を確認します。森に入るときはコンパスと刃渡り40cmほどのナイフ、水を持って行きます。半日以上森や原野を彷徨うので水は必需品です。森へ入ったらマークを付け、前後を確認しながら進みます。参加者に楽しく安全なコースを作りたいですし、ここで迷ってしまっては誰も助けてくれません。

森の中で進路を決めるときは五感を駆使します、足場を確かめ、水音に耳を澄まし、水の匂いや湿った風に気配りします。森に入ると聞こえてくるのはザワザワと風に揺れる木々の葉の擦れ合う音、鳥の囀り。パラオの国鳥ビーブ(アオバト)のホーッホーッという(猿の様な?)鳴き声は特徴的です。森の中でぽっかりと木の無いシダの群生した場所に出ることがあります。一見容易に進めそうなのですが、身の丈ほどに成長したシダ原は全身で踏み倒しつつ進むしかありません。これがパラオの強力な陽射しの下では大変な重労働で3m〜4mも進むと息が上がり汗が滝のように流れ落ちます。

森を抜け集落に出ると唐突に日本の原風景のような苔生した石畳の小道に出会うことがあります。おそらく日本統治時代に作られたものでしょう。見晴らしの良い丘の上に旧日本軍の塹壕が延々と続いていたりします。塹壕の縁には赤錆び草生した重機関銃や大砲が今も海の方を睨んでいる事も。森で米軍機の不発弾や沼に沈んだ旧日本軍戦車を見たこともありました。

森は私を試し、たしなめ、いろいろと教えてくれます。そして森から出て来るとサバイバーのような小さな自信をくれるのです。そんなパラオの森に行くのが私は大好きです。旅行者の方は滝見学ツアーに参加するとパラオの森をプチ体験出来るかも?!

溝上拓哉

三澤 俊和 (Toshi)
Ministry of Health, Republic of Palau 契約職員



リンクフリー
こちらのバナーをご利用ください。