オリジナルコラム
nicedaytour
執筆者: 秋山 香里
vol.81 レンジャーのお仕事

 

の美しさを求める人々の憧れの地パラオ。私もまたその魅力に取り付かれた一人で、2年ほど前からツアーコーディネーターとして楽園パラオをご案内する仕事に携わっていますKAORIです。
「海の宝石箱」「最後の楽園」とも言われる、この美しく素晴らしいパラオの海が“レンジャー”と呼ばれる人たちによって守られているのはご存知ですか?

 

コロール州レンジャーは、今から19年前、夜間外出禁止令の施行を目的に設立。その後14年前に環境保護のための機関へと変わり、毎日パラオの自然や動植物の保護、また、私たちの安全を見守ってくれています。
皆さんはレンジャーに対してどんなイメージをお持ちですか?私がよーく知っている某有名な湖のレンジャー達は、訪れる際に必要な「許可証」をチェックする以外は、見るからに暇そうでな気の毒な方々。たまにゲームとかしちゃってます。突然そんなレンジャー達がどんな風に一日を過ごしているのか気になり、居てもたっても居られなくなったある休みの日。行ってきましたアポなし取材。 

レンジャーオフィスがあるのはマラカル島。話しが早そうなコワモテの人を見つけ勇気を出して「ハロー!レンジャーのお仕事体験させて下さい!」と道場破りばりの勢いで言ってみた。するとそのお方、ギロっとコチラに目を向け
ボス「オマエ、泳げるのか?」  KAORI「は?…ハイ!」 
ボス「弁当は持っているのか?」 KAORI「は??…ハイ!」 
ボス「飲物は?」 KAORI「イッパイあります」 
ボス「よしOK」 KAORI「…? あっ!サンキュー」ってあっさりOK(笑) 

レンジャーのお仕事は、朝8時?16時、16時?深夜0時、深夜0時?朝8時までの3交代の24時間勤務。レンジャーと呼ばれる海のパトロール隊が16名(お馴染みの黒いポロシャツ)、ビーチボーイズと呼ばれる清掃部隊18名(緑色のTシャツ)が在籍。私が同行させてもらったのは海のパトロール。まずは、車に乗りこんで各港をチェック。違反者や不審者が居ないか見て周ります。異常なし!街中パトロール終了。
続いていよいよ海のパトロール! レンジャーオフィスの前に浮かぶボートに乗り込みます。2艇ありますが、我々のボートは残念な事に左側の小さいヤツです。はい、このボート、屋根がありません。しかも座席は板一枚。さらにガソリンがたっぷり入った超BIGでデンジャラスなポリタンクが炎天下に2つも転がってるではないですか。なんだかとってもテンション上がります。
 
さぁロックアイランドに向けてパトロール開始?!超快晴。心は完全オフモード。いつもの海とはちょっと違って見え、「いい天気だねぇ?」なんて余裕があったのは初めだけ。この超小型ボート小さな波でも跳ねる跳ねる、しばらく進むと皆ロデオ状態。ギャーお尻割れるーー。吹っ飛ばされるー。スピード出しすぎー△×◎■!!と、あまりの恐怖に目の前が真っ白になりかけたその時、いつも美しい景色が…。ミルキーウェイ到着。観光客の皆さんが楽しそうに泥を塗って遊んでいます。雰囲気を壊さない様静か?にボートを横付けして「ハイ!許可証見せてね」とお仕事。異常なし。せっかくなので、私達も泥パック。ふざけている訳ではありません。愛嬌です。その後、様々な場所で許可証をチェックし更に南に向かってボートを走らせます。とあるビーチで、ツッコミどころ満載のボートを発見!っていうか、どうみてもビーチに乗り上げてます(笑)コラコラコラーと注意。 
ジャーマンチャネルを通過し外洋へ。今度は、とある有名なダイビングポイント近くでカヤックに乗った一人のアメリカンを発見!ここは外洋、なんでこんな所に??? レンジャー曰く数日前から近くのゲメリス島で単独オーバーナイトをしているそう。「Are you OK?」「OK?!」と言葉を交わしバイバイ。異常なし。レンジャーはいつもこの人を気にかけているとか。
そんなこんなで、正午をまわったので無人島でランチ休憩。
それにしても暑い!レンジャーの仕事って思ったより大変なんだな…と目の前に広がる綺麗な海を眺めながらボーっと物思いにふけっていると、遠くでブランコに乗った楽しそうなレンジャーが見えたので(注:休憩中です)「ねぇ次の仕事は?」と聞いてみると「カオリ、午後は特別な場所でパトロールだよ」と。もしかして?という期待が高まり、無人島のゴミ拾いに精が出ます。

パラオの海には、人々が訪れる事の出来ないいくつかの自然保護地区があります。
1956年にミクロネシア初の保護区域に指定された「ネゲルグイ野性保護地区」。通称セブンティーアイランド。美しい形の島々、パラオ固有の海中生物や野鳥、植物、又絶滅危機に瀕している亀やジュゴンの棲み処になっているこの島々は、まさにパラオが誇る海の宝石箱と呼ぶにふさわしい特別な場所。私にとっていつも気になる憧れの場所。
政府とコロール州政府の法律により、この場所は上陸する事はもちろんボートで近くを通る事も許されていません。セブンティーアイランドを訪れるとどのようなペナルティーが科せられるのか聞いてみると、ボート没収&罰金、場合によっては投獄。(程度によって異なります)

という訳で、午後は保護地区でのパトロールに決定。ついに憧れのセブンティーアイランドへ! 目の前に広がる絶景に心を奪われそうになりながらもきちんとお仕事。一つ一つビーチに上陸しゴミ拾いです。綺麗なビーチには流れついたサンダル、ペットボトル、発泡スチロールやビニール袋の数々。拾っても拾っても出てくるゴミと格闘していると何だか悲しくて一気に現実に引き戻されてしまいます。と、レンジャーが亀の足跡を発見! 産卵してたんだねーなんて話してると、突然バケツの水でジャーっと足跡を消し、落ち葉をかき集めてバサッとかぶせるじゃないですか。何でも、亀の卵を狙ってやってくるローカル対策だとか…。飽食のこのご時世、絶滅寸前の亀の卵を狙うだなんて何だか許せませんが、パラオ人に言わせると美味しいらしいです。
ゴミ袋に入りきらない程のゴミを拾い、亀の足跡を何本か消し、ゆっくりボートを走らせながらビーブ(国鳥)や珍しい鳩、飛び交う沢山の野鳥たちを見ていると、同じパラオなのに全く別の国に来た様な不思議な感覚に陥り…全てが終わってコロールに向かうボートの上で強く思いました。あそこに行っちゃいけない!と。ボートが生み出す波は、ビーチをどんどん削り、亀の産卵場所や、様々な生物のすみかを奪ってしまいます。ボートの音は海中生物や野鳥にとってその生活を脅かす騒音以外のなにものでもありません。長い年月守られてきた彼らの場所に、パトロールとは言え、人工的な乗り物で影響を与えてしまった事にものすごく罪の意識を感じました。

夕方レンジャーオフィスに戻ると、皆が「どうだった?」と出迎えてくれ、「ネゲルグイ(保護区)にはもう行きたくない。行ってはいけないと思う」と伝えると、例のコワモテのお方(レンジャーのディレクター)がニコっと笑って「カオリ、お前レンジャーになれ」と。
次の世代の人達に、昔と変わらない豊かな生物と美しい自然を引き継ぐ為にも、パラオの海を紹介する一員としてこの自然を守りたい!「一日レンジャー体験」を通じてそう強く感じました。 

みなさん、パラオの美しいビーチに残すのは足跡だけにして、思い出とゴミはちゃんと持ち帰りましょうね!!

 

 

 

秋山 香里

秋山 香里 (あきやま かおり) 
海に山に空港に、昼夜問わずどこにでも出没する 元気だけがとりえのツアーコーディネーター。 
2006年10月よりパラオ在住。新潟出身。 
IMPAC TOURS  URL: http://www.palau-impac