オリジナルコラム
nicedaytour
執筆者: 伊井 康理
vol.136 セーリング
13601.jpgこの言葉、得に興味の無かった私には縁のないものかと思っていましたが、パラオに来たての頃に、欧米の方の所有する寝泊りも出来る本格的なヨットに乗せてもらう機会がありました。風の力を利用して走る、とてもエコな動力の乗り物です。しかし、速いものが好きでセッカチな私にはその時、その航行スピードが非常にのろく感じ、目の前に見えている陸や島に近づくのを待っていられない感覚でした。すぐそこに目的地が見えているのに、さらにまだ1時間も2時間もかかるんですよ・・・もうエンジンを使って走ってしまおうよ!こんなものでゆったりと太平洋を渡る人が居るなんて考えられない、これだったら絶対飛行機に乗るよ!なんて思いを持ちました、その時は。まぁ考えてみれば、その日は穏やかな天気、とても風が弱くて帆走するには条件が悪かったというのもあるのですけど。

私は仕事柄、いろいろな動力付きボートに乗る機会はありますが、それから長く、ヨットのことは忘れ去っていました、もうヨットに乗ることは無いだろうと。パラオの海は一帯がサンゴ礁に囲まれていることもあり、日常的に波が穏やかで比較的小さなボートで遠くへ行くローカルの人が居ます、漁師や熱狂的な釣り人たちです。船体が小さければそれだけ、荒れた波によって転覆や沈没という危機に遭遇してしまう可能性が高くなります。これは"経験&勇気&運"で乗り切れるとしても(そんなに簡単にはいかないですが!)、動力源であるエンジンが故障すれば全く走ることが出来なくなってしまいます。ここではこのような時、日本のように所属マリーナや漁港、海上保安庁などに連絡すればなんとかなる、というわけには行きませんから、単独で遠い外海に出てしまった以上は基本的に何があっても自力で帰ってこなければなりません。(そういう気概と準備が必要です)エンジンが2機付いていればかなり安心ですが、中には1機だけのものもあります。そこで彼らに聞きました、「遠出したときにエンジンが故障したりしてどうしようも無い状態になったことはないのですか?」ありましたよ!やっぱり。その話は私の脳裏に焼きつき、あのノロい、スローな乗り物が急に魅力的に思えてきたのです。

何度も生還を果たした彼が言うには、そんな時には、竹とポリタープ(いわゆるブルーシートです)を使うんだよ、と。どういうことでしょう?エンジンが1機しかない彼のボートにはいつも、長い竹の棒とポリタープ、それと十分なロープが積んであります。これを使って簡易の"帆"を作り、帆走するというのです!そしてその方法で過去に何度もサンゴ礁の外の海から帰って来ているのです!!!超スゴイっ!感激!!! もちろんコンパスも積んでいますよ、太陽と月だけでも方向を定めて走れるそうですが!

13602.jpg私はメカニックですが、出先で故障した場合など、すべてのトラブルを解決できるわけではありません。エンジンは人間が作ったもの故、どうしようもない部分が突然壊れることは必ずいつか起きます。そのような機会に遭遇するかどうかは時の運かも知れませんが、そういったときに最後に頼りになるのは原始的でシンプルなものなんですね。複雑・デジタルは一部が壊れればシステム全てがアウトになりがちですがシンプル・アナログはこういうときでも強いのです。進む速度は遅くても確実に風の力で進む・・・風下だけではなく、風上にも向かって走ることが出来る、そして陸地に帰ることが出来る・・・これは素晴らしいじゃないですか! と、いうことで、竹棒とポリタ--プは用意しておくにしても、いざという時にはセーリングの基本を知らないとダメですよね。ラッキーなことに、パラオにはヨットマン、カドタさんがいらっしゃいます。ホビーキャットという双胴型の小さなヨットを使って操縦方法や知識を教えていただきました。風を読み、帆と舵を合わせる、これがやってみると意外と繊細で楽しいのです!

13603.jpg今では風の感じの良い日には洋上を空想して乗りに行きたくなるほどです、ここは海の色も綺麗ですしね! おかげさまで私は漂流しても陸に無事帰ることが出来そうです・・・たぶん!? いや、でも、漂流は経験したくないなぁ・・・
(記:2010年1月8日)





伊井淳教

伊井康理(いい やすまさ)
1974年生まれ、00年よりパラオ在住。やっぱりたこ焼きが大好きな大阪人。
A.I.Company / SUZUKI Marine
Advance Improvement Collaborator Corp.

vol.78 暑い家にはこの方法で

 

国パラオ、やっぱり暑い!です、一年中。
それでも最高気温は30℃ぐらいなので、日陰では日本の都市部よりもよっぽど涼しいのですが、その太陽光線は強烈で、日中はもう、短時間でアタマがクラクラするほどです。

 

私は現地の人に家を借りているのですが、その屋根の構造があまりに単純!パラオでは一般的な作りなのですけどね。トタン屋根の下は空洞で断熱材が何も無く、その下に部屋の天井があるのですが、これが強烈な太陽光線を受けるとトタン(鉄製)の温度が高温になり、その熱が屋根裏の空気を伝わって天井もかなり熱くなり、これが部屋の空気を暖め、カンカン照りの日は部屋の温度が35℃を超えてしまいます。だからと言って、この電気代の高さでは、エアコンを一日中使うわけにも行きませんよね、CO2排出量へのうしろめたさもありますし。

でも暑さにガマンも限界・・・こうなっては節電しながら涼しくしないと。まずは、この屋根裏の熱い空気(43℃ほどありました)を排出して、屋根の熱が天井に伝わりにくくしようと、換気扇を取り付けることにしました。それでは材料探し!そうです、ハードウェアショップへ!最初は、台所用か風呂場用の換気扇を改造しようと思っていたのですが、なんと、ちょうどいいものがありましたよ、その名も”Attic Ventilator”、屋根裏換気扇、探していたものそのものです。さすがはDo It Yourself のアメリカの会社の製品だな?と感激しつつ、即買いしました。これには周辺の空気温度を感知して自動でON-OFFするスイッチが付いており、なかなか良く出来ていましたが、上部のカバーが樹脂で、すぐに紫外線でパリパリになって雨漏りしそうだったので、ちょうどいい大きさのステンレス製のタライを買って専用カバーにし、鉄製ネジもステンレスに交換して、多湿多雨のパラオ仕様にしました。新品のタライに取付用の穴をあけるのはためらいましたけど。トタンにポッカリと穴をあけ、配線をして取付完了。

換気扇を試しましたら、室温は2℃ほど下がりましたよ、効果はまぁまぁかな。夏の2℃差は大きいですけどね、まだまだ不満、昼間はノボセます。では次はどうしようかな?屋根の下に断熱材を沢山入れればいいのでは?という声が聞こえてきそうですが、しょせん、人の家ですからね、あまりお金は掛けたくないんですよ。なので、次はトタン屋根に白いペンキを塗り、太陽光線を跳ね返す方法を思いつき、またまたハードウェアショップへ。そうすると、なんと!またいいものありました!「雪のような白さで太陽光線を90%以上反射し、部屋の温度を劇的に下げる」という売り文句のアメリカ製のペンキです。いわゆる遮熱塗料ですね。日本製があるのは知っていましたが、あまりに高価なので諦めていましたところ、これは安価でした。しかもたいがい、宣伝文句は大げさなのであまり期待せずに、でもちょっと期待して買いました。そしていざ、塗り作業です、インターネットの雲の衛星写真を見て雨が降らないと思われる日を選び、一気にハケ塗りです。晴れてても超急いで、暑さも疲労も無視して一気に塗りまくりです、晴れてても、いつ大雨が降ってくるのかが分らないですからね、パラオは。途中で降ってしまえば、労力もペンキも無駄になってしまうからホント真剣作業ですよ。

しかしこの塗料、二度塗りしましたがあまりに反射するので目が痛く、サングラスをかけて作業しました。それは晴れたスキー場よりも眩しい感じです。

ではその効果は?どう思われます?いや?、これはすごい!!!室温がさらに2?3℃下がりました、日中の部屋でも涼しいぐらいに!期待以上でビックリです。お陰で天井換気扇の作動時間も激減、エアコン使用時間も激減で、大幅に節電出来ました!夜も日中の熱が残っていなくて、快適快眠!みなさんもどうですか?


 

 

 

伊井淳教

伊井康理(いい やすまさ)
1974年生まれ、00年よりパラオ在住。やっぱりたこ焼きが大好きな大阪人。
A.I.Company / SUZUKI Marine
Advance Improvement Collaborator Corp.

 

vol.36 パラオでお気に入りの店

はパラオのハードウェアショップが好きです。それは日本で言う“ホームセンター“、”DIYショップ“と言ったところでしょうか。売っているものは、ネジや釘に始まり、照明、電気、電設関係、パイプや蛇口、温水器など水道関係、ジュウタンやゴムマット類、電動工具&ハンドツール、園芸用品、日用雑貨、掃除道具、ボート用品、自動車用品、アウトドア用品、エアコン、洗濯機&乾燥機、冷蔵庫、ペンキ、木材、鋼材、トタン、セメント、金網、・・・などなど、島生活を少し豊かにしてくれるものが沢山あります。

 

代表的な店は3店有り、面白いことに、それぞれ揃えている商品が少しずつ違い、お互いの足りない部分を補完し合っているという感じで、例えば、A店にはボルト(ネジ)が有るけれどナットが無い、M店にはナットはあるけどワッシャが無い、K店にはワッシャだけ有る、という状態です。

私は仕事でのちょっとした部材集めやアイデアを求めて頻繁に行っており、店員さんに“アイツまた来たぞ”って呆れられています。こちらに住んでいる人は、これらの店を回り回ってかなりお世話になっていると思いますよ・・・ところで、なぜ好きなのか?と言いますと、あと一歩が足りない未完成商品、どうやって使うかが分らないハテナ商品、安心堅実だけどデザインがイマイチの日本製品、高いけれどすごくいいアイデアのアメリカ商品、日本と比べてめちゃくちゃ安い台湾・中国商品、など、私にとっては、玉石混交のオモチャ箱。日本では、欲しいと思った商品はすぐ手に入りますよね、でもここでは何もかも輸入、人口も客数も少ないので無いものだらけ。部屋に置く棚が欲しいなぁと思っても、ちょうど良いサイズやデザイン、価格が揃ったものはまず有りません。

ではどうするか、?パラオ中を探し回る、?見つからないから諦める、?日本やアメリカから輸入する、?ここで手に入る材料で自作する、?中古品を譲ってもらう、これらの選択肢のなかで、?は、余計な送料もかからず、早く入手できるのでけっこう有効なのです。ここはパラオ、見た目は二の次。とりあえず自作すると決めて材料を買いに行くとします。頭の中では、木材の2×4が6本、板は10mm厚の4×8が2枚、金具はアレとアレが何個ずつ、とか試算しているのですが、いざ買おうという段階で、思っていた木材は各1本と1枚しか在庫が無い。パラオ中を探しても売り切れ中で次回入荷予定は2ヵ月後。などということがしょっちゅうです。ではどうするか?ここでいきなり設計変更です。設計と言っても大したことないのですけどね、在庫の有る材料で考え直すのです。こんな事が度々起きるので、作るものが当初思っていたものとは全然違うものになってしまったりすることもあります。

最初はナイナイ尽くしでかなり落胆していましたが、慣れればこのハプニングも楽しくなってくるのです。アイデアがモリモリと湧き出て、結果的にはすごく良い物になったり、かなり安く出来上がったり。もちろん反対の場合もありますよ。でもそれも良し。そのうち、逆の発送が出来るようになります。店の品揃えを見て、う?ん、これがあればアレが作れるな!となるわけです。私がずっとお気に入りなのは、亜鉛メッキされた丸い鉄パイプ。本来は地中に埋めるガス管ですが、錆びに強い上、厚くて強度があるので、ここではさまざまな物に使われています、仕上げにペンキが塗られたりして分かりにくいですが、皆さんお気付きでしょうか? 階段の手すり、フェンスやテントの柱、アンテナの支柱、トラックのバンパーや荷台、ボートトレーラーのフレーム・・・

日本でも昔はこうして手作りしていたのでしょうけれど、人がこういった単純なものを利用して上手く作ったのを見ると、なるほど、と思わせられます。今度は僕が誰かに、なるほど、と思わせたく、また何か新たなものを作りたくなってくるのです。あ?、また来てしまった・・・



伊井淳教

伊井康理(いい やすまさ) 
1974年生まれ、00年よりパラオ在住。やっぱりたこ焼きが大好きな大阪人。
A.I.Company / SUZUKI Marine
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