オリジナルコラム
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執筆者: 一戸 孝司
vol.66 人魚が暮らす海

の時期南国の楽園パラオの空と海は気まぐれです。機嫌の良い時は何日も太陽が顔をだし、ご機嫌ななめの時は恵みの天水が降り続く日も少なくはありません。パラオの降水量は東京都の2倍も頂けるのですが、お客様に対しては不快に思わせるこの天水!! 
しかし、この天水はジャングル達に喜びを与え、地中を旅しながら栄養分を海に配達します。その先にはマングローブ達が配達を待ちわび、またその先には減少しつつある海草達が群生しています。この海草こそが「アマモ」なのです♪  

アマモ類は藻類ではなく、むしろ地上の草に近い植物です。太古の昔は地上で生活していたのですが、植物の世界で負けて海に追いやられたのだそうです。可愛そうでしょ? 
ところでここで質問です。なぜ「アマモ」と名付けられたか皆さんはご存知ですか? それは、根っこの部分が甘いから。「甘藻」と名付けられているので私も1度食しましたが「ん。」な味…。 皆さんも機会があれば是非ご賞味ください。 
この地味なアマモこそが、パラオでも絶滅危惧種に挙げられている「ジュゴン」の食事メニューの一種なんです。パラオの環境保護区にはアマモが今も大量に群生していますが、ジュゴンは極端な偏食であるため、餌場であるアマモの藻場(もば)がなくなれば、その地域では絶滅する可能性もあるのです。 

ジュゴンは、海棲哺乳類の1種。ジュゴン目(海牛目)ジュゴン科に所属し海牛類と呼ばれています。水中をゆっくりと泳ぎながらジュゴンが好物の海草を食べている様子は、草原で草を食べている牛を想像させます。しかし、歯の仕組みはゾウなどに似ていて、小さな牙も生えることから、ゾウと近縁だろうと考えられています。 
パラオのゾウ、ではなくジュゴンの話を書きたいと思いますが、今年3月にフジテレビ系『親子ジュゴンに会いたい?奇跡の楽園パラオ?』をご覧になられた方も少なくないと思いますが、私も取材に同行させていただき彼らの行動、生態をほんの少しではありますが勉強しました。彼らは単独または数頭の少群で暮らし、つがいで行動することはなく、群で行動するのは授乳中の母子のみです。遊泳速度は時速3kmほど、潜水の深度は深くて10Mほど。約10分ごとに呼吸のために浮上してきます。取材中もヘリコプターから彼らを探すと、多い時には30分で10頭以上も発見する事もあり、ボート上からでも毎日数頭が発見できました。性質はおとなしいジュゴンですが、とても神経質で音や光に敏感な哺乳類です。プロカメラマン(竹内氏)のフィンキックですら慎重に行なわないとジュゴンが警戒しすぐに潜ってしまうため、カメラに収めるのは至難の業でした。 

サブタイトルにもあるように『?奇跡の楽園パラオ?』なぜ奇跡?と頭をひねると思いますが、パラオを訪れた方ならボートで1度は走行した事がある場所に彼らの餌場があるのです、(内緒やけど)そこは、ライトハウスチャネルを抜ける際の左側なのです。他国ではひと気の少ない所に彼らはのんびり暮らしているのですが、パラオのジュゴン達はボートの往来が多く、港から数分の所に暮らさなければならないのです。私達には絶滅危惧種を見る機会がある事は喜ばしい事ですが、彼ら自身がどのように思っているのか誰にも解かりません。

 

次の世代にもパラオのジュゴンを見る機会がある事を祈ります。がんばれジュゴン!!


 

一戸 孝司

一戸 孝司  
ROCK ISLAND TOUR COMPANY(RITC) 中年のオヤジです。