オリジナルコラム
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執筆者: 白根 加奈子
vol.123 虹の終わりに。
12301.jpg  「Rainbow's End」
この言葉を聞いて何を想像しますか?この言葉、パラオの標語にもなっていて、パラオはしばしこの様に表現されます。直訳すると「Rainbow's End」=「虹の終わり」=「パラオ=虹の終わる場所」。
ずっとずっと、なんで「始まり」ではなく「終わり」なんだろう・・と思っていました。「終わり」という言葉に、せつなさや、絶望感や、暗くて先の無いイメージを勝手に抱いていたからかもしれないけれど。
とにかく。私はこの言葉でパラオが紹介される度に、自分の中にあるパラオのイメージと言葉との間に生じる、ズレの様なしっくり来ない空気を感じていたのです。

パラオの降水量は年間雨量が世界一になった事もあるほど多いと聞いたことはありますか?私の師匠が昔見た世界地図には「降水量が一番多い都市=コロール」と書かれていたそうで、それを聞いた時は「確かにこんな島国にしては水に困らない・・とは思っていたけれど、世界一とは・・。」とびっくりしたものです。
それだけ雨の多いパラオ。その「雨」の種類にも色々ありますが、南の島特有の「スコール」と呼ばれる雨も多く、つまりはその後に出る虹もとても多いのです。パラオに来て、虹を見た記憶のある方も沢山いらっしゃるのでは無いでしょうか?
12302.jpgそう考えてみると、パラオに来てから虹を見る事が普通になっていたかも。日本にいた頃は、虹が出れば皆で「虹だよ〜〜!」なんて言いながら外に出て消えるまで眺めていたものなのに・・。この光景にすっかり慣れてしまっていたなんて・・本当になんて贅沢なのでしょうね。

さてさて。実は、この原稿を書いている今さっき、完璧すぎる虹を見てきました。正確には、その虹があまりにもキレイだったから、何を書くか全く思いつかずに途方に暮れていた今回の原稿のネタにしているのだけれど・・。
早朝ダイビングが終わり、ようやく朝色を身にまとった世界の間をスピードボートで走り抜け、これからポイントに向かうであろうボートとすれ違ってちょっと優越感。そんな中でいきなり降られた本気のスコール。
そして。その後に現れた虹を見た瞬間。完全に開けっぴろげで無防備だった私の心はがっつり揺さぶられ、たしかにここは「虹の終わる場所だ。」と思ったのです。

12304.jpg夢を叶えた先の光を見たがる様に、人は、「虹」と言う、美しくも不思議で、つかみきれないその橋の先に、輝く別の世界を想像するのかもしれないな。
だとすればここはその世界に値する。
夢と、希望と、HAPPYで作られた、虹色世界。
「Rainbow's End」=「虹の先にある最強に輝く国」。うん。それなら納得。
雨よりも、パラオは断然晴れがお似合いだけれど、こんなステキな現象が待っているのだったら、雨の日も捨てたもんじゃないな・・。
なんて。そんな事を感じつつ、今日は早朝ダイビングで早上がりだから、午後からはこの虹色世界にあるステキなビーチで、昼間からビールを飲もう!と考えているのでした。



白根加奈子 白根加奈子(シラネカナコ)
1983年生まれ。埼玉県出身。パラオ暦7年目。ダイビングガイド。
URL:http://xxkanaxx.exblog.jp/

vol.91 溶ける海。とろける海。

 

パラオの海って、溶けやすいですよね。」最高に気持ちの良いお天気のある日、ダイビング直後のゲストに言われた一言。そう。パラオの海は溶けやすい。
 なんのこっちゃ・・と思った皆様。はじめまして。パラオでダイビングガイドをしております白根加奈子です。
 6年前。初めてパラオを潜った時に抱いた感想が「なんてとろける海なんだぁ?!」でした。深く優しい真っ青な水の中、最強のお日様パワーを浴びながら、泳ぎ回る山盛りの魚達。包みこむ水の感触はやんわりと。見上げれば金色の光が心臓の置くまで染込んできます。目の前の全ての光景を一秒たりとも見逃したくない!と思う気持ちと、目を閉じて、視覚以外の全神経でこの感触を感じていたい!と思う気持ちが全面対決。自分の吐くエアがキラキラ輝きながら空に吸い込まれていくのを見ていると「あ?。今。私。パラオの海に溶けているなぁ?。」と思ったものでした。
 その感覚を持ったまま6年が経ち、初めて同じ感想を持ったゲストに出会いました。いや。もしかしたら、同じ気持ちの人は沢山いたのだけれど、口に出していなかっただけなのかも?
 世界中の海には、透明度が最強な所もあれば魚影が恐ろしく濃い所、癒されるには絶好の所やマクロが面白い所・・ナドナド。その場所の売りや、一言で言うとこんな海!!と言うものがあるものです。
 では。パラオの海を一言で表すとどうなるのか?・・実はこれは非常に難しい質問です。何故ならパラオは全てがちょうど良いから。透明度・魚影の濃さ・水温・色・気候・景観・距離・・これら全てのバランスが最高である!と私は思うのです。そして、そのベストバランスな状態に、毎日なんらかのスパイスが加わり、更に深みや面白みが増していく。味も、印象も、楽しみ方も変わるけれど、基本は最高峰の素材。それがパラオの海です。
 全てがちょうど良く、不快に感じるものが一切無い状態で海に入るとどうなるか?そうです。いよいよ人は溶け始めます。ただただ、海に浸っていく。完全に海の一部となり、水中であるとか、人であるとか、全部が関係無くなって、消えていって、最終的には感じる心だけになっていく。ほら。今。完全に溶けました。
 パラオにはまって何度もパラオに帰ってきてしまう「パラオ病」と呼ばれる人達が沢山います。きっとそれはパラオに溶けてしまった人達なのでは?と思うのです。そう言う私も、完全なる「パラオ病」末期患者。世界で私が一番パラオの事を好きだろうと確信しています。
パラオにいらっしゃる方の多くが、その数日間の為に何ヶ月も前から計画し、楽しみにして来てくださいます。何年も前からいつかはパラオに来たいと思っていた!とか、あの雑誌の光景を見たくて無理して休みを取った!とか、その多くの方が、夢や憧れを持って来て下さるのです。ありがたい事です。プレッシャーでもあります。その夢や憧れを、現実にして、あわよくば想像を越えさせたい!とろける体験をしてもらいたい!そう思いながら、今日も海に出かけて行きます。
「世界一溶けやすい海・パラオ」溶けたくなったらいつでもどうぞ♪

 

 

 

三澤 俊和

白根加奈子(シラネカナコ)
1983年生まれ。埼玉県出身。パラオ暦7年目。ダイビングガイド。
URL:http://xxkanaxx.exblog.jp/